11-12 UCIトラック競技ワールド・カップ 第3戦北京大会
配信日:1月18日
1月13日(金)開催初日 天候:晴れ時々曇り 気温2度
前日に団体追抜予選を行なったものの、今日からがワールド・カップの本当の幕開け。初日の今日は男女のチーム・スプリントがメイン・イベント、2日間にわたって行なわれるオムニアムは今日から男子がスタートとなる。
まずは男子のチーム・スプリント、中国がトラック・チーム3チームを含めて4チームの出場、合計16チームでの争いとなるが、強豪国の姿が無く、メンバー的に揃ったロシアのトラック・チーム、モスコー・トラック・チーム、今季初のベスト・メンバーでの出場となる地元の中国、躍進著しいヴェネズエラ、ベスト・メンバーではないオランダ、ニュージーランド、そしてポーランドといったところが相手か、という状況、上位進出が狙える相手でなんとかしておきたいところである。日本からは全戦でトップ・バッター、第1走を務めている雨谷一樹がここも1走、第2走者にワールド・カップでは初の2走となる新田祐大、そして第3走者に中川誠一郎が出場と、万全の布陣とは言えないかもしれないが、期待しなければならないメンバー構成である。日本は第4組、バック・ストレッチからのスタートで相手はニュージーランド。1走にレギュラーではないアーチバルド、普段は3走のドーキンスが2走、日本でもお馴染みのヴァン・ヴェルトホーヴェンが3走という布陣との対戦。1走の雨谷は17秒958となんとか18秒を切って入り、18秒209のニュージーランドより先に2走の新田へと繋ぐ。新田は13秒266と13秒160のドーキンスに詰め寄られるものの若干リードのまま中川へ。中川は13秒814と13秒379とまとめたヴァン・ヴェルトホーヴェンに差を付けられて逆転を許す。結果、タイムは45秒038と45秒を切ってくることが出来ず、既に走り終えている地元の中国の44秒543、相手のニュージーランドの44秒748に次ぐ、この時点で8チーム中3位の成績となってしまい、表彰台のチャンスを残す3-4位決定戦には残り8チーム中、1チームにしかタイムを上回られてはならないという厳しい状況となってしまった。その後6組目のモスコー・トラック・チーム(ロシア)が44秒391、後がなくなった日本だったが7組目のヴェネズエラが44秒768、結局1つ足りずに5位、予選での敗退が決まってしまった。
コメント:雨谷
「18秒を切るというのは最低限ですよね。ドイツなんか17秒0台ですもんね・・・まあ、最低限のことが出来ただけですかね・・・カリはギアを重くして失敗しちゃったので今回は下げて望みました。4着には入って順位決定戦に行きたかったですよねー。そのためにももう少しタイムを出したいところでした。もうオリンピック・イヤー、あっという間ですよね。やること、やっていくだけなんで、それで結果を出せるように頑張ります。」
コメント:中川
「まだ自分の個人のタイムをみていないので何とも言えないんですけれど、調子は悪くなくて付いていてもそんなにきつい、という状態ではなかったんで・・・でもこのメンバーなら4位以内はいけると思っていたので・・・新田君2走の3走、新田君はスタートいいんで離れる、というのもあるかとは思ったんですが・・・そんなに合わせる時間もなかったのでその辺を含めてちょっと心残りですかね・・・あとはケイリン、とにかくセミファイナルへの1着上がりがきついですよね。2回のチャンスでなんとかしたいですよね。そこへ上がれれば決勝へ行く自信はあるので・・・3着上がりだったらいいんですけどね・・・」
決勝はタイムを上げた予選1位通過のモスコー・トラック・チームが44秒196で44秒430の地元優勝を目指した中国を撃破。3位決定戦は3走のヴァン・ヴェルトホーヴェンが逆転したニュージーランドが44秒827で44秒914のヴェネズエラを下した。
チーム・ピットの様子
男子チーム・スプリント
ここに上がりたかった・・・
西谷の2日間が始まった。
2日間をかけて争う男子オムニアムは今日からのスタート。オリンピック出場枠争いの真っ只中、参加チームも相変わらず多く予選からのスタート。予選は60周、6回の中間スプリントで争う15km、30名のエントリーで2ヒートに別れそれぞれ15人が12人へと絞られる。日本からは西谷泰治が出場で2ヒート目に登場。最低3人は下してまずはしっかりと本選に進みたいところ。その西谷は序盤から動き第1スプリントまであと1周のところを集団の先頭で通過、そのままスピード・アップしてその位置をキープして第1スプリントを1着で通過、5ポイントを上げる幸先の良いスタートでほぼ予選通過を決める。残り48周から単独で逃げ、残り36周でラップした、アーヴァイン(アイルランド)、短時間でラップしてしまったチョイ(香港)他3名のライダー、合計5名がラップした中、西谷は最終スプリントに加わり最終バック6番手から3番手にまで押し上げて2ポイント獲得、合計7ポイント、ラップしたライダーを除いて最上位で予選を通過した。
前回カリでの経験を生かして上位進出を狙っていきたい西谷、1種目目のフライング・ラップ(250m)は13秒725と前回のカリでの13秒932を上回っての12位でまずまずのタイム、順位。
2種目目のポイント・レース、西谷は序盤、逃げるデ・ケテレ(ベルギー)、アーヴァインを残り107周からイナラン(トルコ)、ハンセン(デンマーク)と共に追って5人で逃げる体制を作るも残り104周で集団に吸収。その後も前々から中段まででのレース運びで積極的に周回を重ねるが、第2スプリント6位、第3スプリント7位通過でポイントとはならなかったが、3番手で第4スプリントへ残り1周を通過、一人交わして2位でこのスプリントを通過し3ポイントを挙げる。残り78周で集団が2分、西谷は後ろの集団となってしまうもののここを抜け出て前団に追い付く。結局遅れた6人が残り68周で周回遅れで20ポイントを失う。残り66周、ここで一人チョイが飛び出て、デ・ケテレ、アーヴァインが追って3人での逃げ、更にオシェア(オーストラリア)が加わって逃げ集団は4人となり、これが残り54周でラップ。西谷は残り46周から単独での逃げを打ち、第8スプリントをそのまま1位通過で5ポイント、その後に集団へと戻る。第10スプリント、西谷は集団からこれに参加して4位通過で1ポイント、その後後続を見ながらペースが緩んでいるのを確認して単独で逃げる。残り17周からは追ってきたトゥイチエフ(ウズベキスタン)と2人となって第11スプリントは1位通過の5ポイント。あと1/4周程度でラップ、というところまで行くも集団もスピードが上がりなかなか差が詰まらず、逆に広がってしまう。残り7周でオシェア、アーヴァイン、エルショフ(ロシア)が加わり5人での逃げとなるがラップとはならず最終スプリントは5位通過でポイントならず、最終結果は14ポイントでラップの無かったライダーでは最上位の5位でこの種目を終えた。
この日最後のエリミネイションは残り18人というところで一瞬内に包まれて危険な状況となり、ゴール線通過後、除外を知らせるトランスポンダーの光を確認する姿が見られたがここはセーフ。残り12人となったところで1回外から先頭へと上がる上手いレース運びを見せるものの、残り10人となったところで残念ながら除外。同ポイントで2人と並ぶものの8番目のポイントで初日を終えることとなった。
女子のチーム・スプリントは17チームのエントリー。日本は5組目、バック・ストレッチからのスタートで対戦相手は香港。第1走者に前田佳代乃、第2走者に石井寛子での出場となった。まず当面の目標は少しずつでも自身たちの持つ35秒302の日本記録を縮めていくことだが、結果は35秒826、36秒128の香港は下したものの、17チーム中15位の成績。なかなかタイムの出にくいトラックだが記録更新とはならなかった。予選1位の32秒958、世界記録に0秒035と迫った、今期初のベスト・メンバーの地元中国のグオとゴンがタイムは落としたもののリトアニアを下しての優勝。3位は予選4位ながら決定戦で同じ中国のジャイアント・プロ・サイクリングを退けたマックス・サクセス・プロ・サイクリングとなった。
女子チーム・スプリント
今季初の2人、世界選手権では世界新か?
夜の部の皮切りに行なわれる筈のオープニング・セレモニーが無くなって行なわれた女子の500mタイム・トライアル、この日2種目目の出場となる前田は17人エントリーの7組目、ガヴィリア(コロンビア)との対戦となった。前田は前回この種目が行なわれたアスタナ(カザフスタン)でもこれに出場、35秒492だったことから、この記録は上回って来たい。前半の1周をガヴィリアに遅れた前田は後半巻き返し先着するもタイムは35秒786。アスタナでのタイムを上回ることが出来ず、これが最終的に7位のタイム。優勝はUCI傘下のWCC、ワールド・サイクリング・センターのジャージを身にまとったグエラ・ロドリゲス(キューバ)。彼女の今後の走りにも注目していきたい。
前田は7位もアスタナでの記録に及ばず
24歳もWCCでの訓練中のグエラ
ラップのなかった
ポイント・レース、田畑は8位
予選は無く、決勝1発となった80周、20kmの距離で争われる女子のポイント・レース、こちらは前回カリでオムニアムに出場した田畑真紀がエントリーし20名でのレース。序盤、第1スプリントから田畑は積極的に加わって、集団のインで3番手を走行、そのままインをキープして2位で最初のスプリントを通過して3ポイントを獲得する。その後単独で、5人、6人でといった逃げがいくつか打たれるものの結局は全て吸収という状況が続き、第6スプリントまであと2周となったところで田畑が内の2番手をキープ。その位置で粘るものの1人交わされて第6スプリントは2ポイント。そのままグアハルド(チリ)らと4人で逃げる体制、これにコンデル(ルスヴェロ・ロシア)らが加わって6人の集団となるも徐々にスピードは落ち結局吸収。1人が逃げを打ったもののラップするような勢いではなく、レースは結局最終スプリントを迎えることとなり、田畑は内からするすると上がり残り3周で集団の先頭へ。残り2周では集団の内2番手になるが、残り1周では集団の7番手と苦しい位置。最後は追い込んでくるが結局は6着でのフィニッシュ、合計5ポイントの8着で競技終了となった。
男子チームスプリントで決定戦まで進めなかったのが残念だった初日、驚いたのは今年女子スプリントで力を非常に付けてきているウクライナのシュリカがチーム・スプリントに出場するのはともかく、団体追抜に昨日の予選に続いて出場し金メダルを獲得していたこと。チーム・スプリントこそ同僚に恵まれず表彰台はなかったものの、自身の第2走者としてのタイムは全体の1位。これにはちょっと驚かされることに。そのウクライナは団体追抜決勝で追抜き勝ちしたのだが、負けたベラルーシは一人完全に集団から遅れてしまって追い抜かれることとなったのだが、この追い抜かれたライダーがその前のポイント・レースに出場していたライダー。仕方ないと言うか、タフというか・・・
明日以降も競技が続くが今回、是非日本チームには健闘してもらいたい。
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