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 今年で2回目を迎えるSSカップみのり(GI)はグランプリ出場はならなかったが、栄光のS級S班に選ばれた9名による一発勝負だ。ラインの結束力で上位独占を狙う中部勢と村上兄弟の真っ向勝負が見どころだが、両ラインが徹底的にやり合っての波乱決着も十分だ。

S級S班のプライドが燃える! 義弘と博幸の村上兄弟がワンツーを狙う
好調の市田佳寿浩の突き抜けも可能性大

村上義弘選手
村上義弘 京都・73期
村上博幸選手
村上博幸 京都・86期
 今年のSSカップみのりの1番の注目ラインは村上義弘と村上博幸の兄弟ラインだ。市田佳寿浩が3番手に付けてラインを固めるだろう。
 村上兄弟が実戦で初めて連係したのは07年10月の共同通信杯の2日目優秀だ。その時は兄・義弘が弟・博幸を連れての一気のホームカマシで2段駆けを狙う北日本ラインを粉砕と、いつもどおりの魅せるレース。結果は荒井崇博に捲られて兄は5着だったが、弟は荒井に切り替えて2着に食い込んでいる。
 今回はおそらく中部ラインとの2分戦の組み合わせだが、兄が一気に叩いての主導権取りが十分にありうる。
 もちろん後ろが弟でも、後ろを勝たせるための暴走的な主導権取りはありえないし、弟もそんな兄の走りを受け入れられないだろう。あくまでも狙いは近畿ラインでの上位独占だ。
 目標のない渡邉晴智や成田和也が中部ラインに攻め込んで展開がもつれるようなら、近畿勢はじっくり構えて捲り狙いでくるだろうし、ゴール前では兄弟であっても抜くか抜かれるかの真剣勝負だ。
 逆に近畿ラインが攻められる展開も考えられるが、昨年後半から成績が急上昇して好調を維持している弟・博幸が番手を死守してくるだろう。
市田佳寿浩選手
市田佳寿浩 福井・76期

 市田も昨年は復活の年となって近況の状態も良いので、勝負どころでの早めの切り替えなどはまず考えられないが、直線勝負になれば3番手からの一気の強襲で頭への突き抜けが十分に狙える。近畿と中部の両ラインが叩き合って展開が大きくもつれたり、近畿ラインが内に詰まったりすれば、最後方に抜け出してからの自力発進もありうる。
渡邉晴智選手
渡邉晴智 静岡・73期

 渡邉晴智は小嶋敬二との連係実績が多いので中部ラインへの切り込みはしづらいが、展開次第では強気の攻めもあるだろう。成田和也の自力を期待しての追走もありそうで、いずれにしろ展開に応じて好位置をキープしながら最後の直線勝負に賭けてくるか。だが、12月伊東温泉記念準決勝で落車負傷しており、注意しておきたい。

怪物パワーが戻った小嶋敬二が、近畿ラインに対して意欲を燃やす!
中部勢が自慢の結束力でラインを死守する
小嶋敬二選手
小嶋敬二 石川・74期
 中部勢は並びが流動的だが、小嶋敬二が近況絶好調なので、小嶋が中部勢を引き連れ、村上兄弟の近畿勢を一気に叩いての主導権取りを狙ってくる可能性が高い。
 11月・競輪祭では準決勝で敗れたが、特選予選では山崎芳仁や稲垣裕之を相手に先行して加藤慎平とワンツーを決めている。次場所の玉野記念でも決勝は内に詰まって8着に敗れたが、勝ち上がりは爆発的な捲りの3連勝で、40代に突入しても衰えを知らぬ怪物パワーを存分に見せつけた。
 中3日で参戦した伊東温泉記念ではさすがに疲れが出たのか勝ち上がりには失敗した。しかし二次予選Aでは小嶋-浅井康太の並びで先行してワンツーを決めており、今回も村上兄弟が連係する近畿勢が強力なので、小嶋は近畿ラインに対抗して意欲を燃やしてくるだろう。
浅井康太選手
浅井康太 三重・90期
 浅井康太は11月・防府記念で村上義弘の先行を捲って記念初優勝を達成、続く競輪祭では決勝進出、12月・伊東温泉記念でも準優勝と健闘して初のS級S班入りを決めた。
 浅井はどちらかというと捲りを得意にしているが、4月・共同通信社杯春一番、6月・高松宮記念杯、11月・競輪祭の決勝では中部ラインを引っ張って果敢に先行している。
 結果的に浅井の先行が功を奏したのは永井清史が優勝した共同通信社杯春一番だけで、高松宮記念杯では山崎芳仁のイン粘りで小嶋と離れてしまい、競輪祭は平原康多に分断されてしまった。それだけに年末の大舞台で今度こそはの気持ちも強いはず。浅井がラインの先頭を任されるなら、対戦相手に分断のスキも与えない早駆けも十分にありそうだ。
山田裕仁選手
山田裕仁 岐阜・61期
 追い込み勢の並びも微妙で、11月・競輪祭のように山田裕仁が最後尾でライン固めに徹するというケースもないとはいえない。いずれにしろ山田裕仁も山口幸二も、浅井と同様に中部分断だけは絶対に許さないという固い決意で気迫に溢れた走りを見せてくれるだろう。展開次第では村上義弘のイン粘りもないとはいえず、中部ライン死守に全力を傾けてくるだろう。
 山田裕仁は近況は勝ち星が少なく、1月・競輪祭での決勝進出、2月・西王座戦での準優勝以後は目立った活躍はなかったが、S級S班入りの懸かった11月・競輪祭では勝負強さを発揮して決勝進出。次場所の伊東温泉記念でも連日2着の勝ち上がりで決勝進出を果たしている。今回もラインの何番手を回ることになっても連絡みが十分にありそうだし、展開次第では山田の自力発進もないとはいえない。
山口幸二選手
山口幸二 岐阜・62期

 山口幸二は2月・西王座戦と3月・日本選手権で決勝進出しており、山田と同様にその後はしばらくビッグレースの決勝戦から遠ざかっていた。それでも、年間を通して安定した成績を維持し続け、10月・共同通信社杯秋本番で再び決勝進出を果たしている。11月・競輪祭では最終日に落車したが、近況の成績は山田以上に良好で、最後の直線での鋭い突っ込みが十分に期待だ。
成田和也選手
成田和也 福島・88期

 初のS級S班となった成田和也はナショナルチームの一員に名を連ねて自転車競技にも力を注いでいるが、競輪では追い込み主体の競走だ。10月・千葉記念では伏見俊昭の捲りをゴール前で鋭く追い込んで記念初優勝を達成。10月・共同通信社秋本番でも準優勝と健闘している。目標のない今回は展開に応じた自在戦で、活路を見い出してくる。
 
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