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各地区からスター候補生が集結!

 今年も12月28日から京王閣競輪場で開催されるグランプリ・シリーズの初日11Rでヤンググランプリが実施される。すでに記念優勝の経験がある木暮安由、柴崎淳、菅田壱道らをはじめとするスター候補生が勢揃いで、例年にも増して見応えのある優勝争いが展開されるだろう。

次代の競輪界を背負う新鋭たちが覇を競う!
木暮安由が抜群の競走 センスで混戦を断つ!

木暮安由
木暮安由 S級1班・92期・群馬・24歳

篠原忍
篠原忍 S級2班・91期・群馬・27歳

 05年のヤンググランプリは北日本勢が4人出場、06年は 6人、07年は4人、08年も4 人と、ここ4年間はライン的に優位に立っていた北日本勢が4連覇を達成しているが、今年の北日本勢は菅田壱道ひとりだ。残りの出場メンバーも地区的にばらけており、今年のヤンググランプリはかつてない混戦が予想される。
 その中にあって最も絆が深いのは木暮安由と篠原忍の群馬コンビだ。混戦得意な木暮にとっては、切り替えの可能性が限りなく低い篠原が後ろに付いていてくれることが、レースを運ぶ上でかなりのアドバンテージになるだろう。
 木暮は2月・名古屋記念で小嶋敬二、海老根恵太らを捲りで破って4連勝で記念初優勝を達成。近況はGI、GIIのビッグレースでも着実に勝ち星を挙げている。今回も抜群の競走センスを駆使して混戦を制してくる。
 篠原忍は9人の中で唯一のS級2班だが、力的には決して見劣りせず、4月・宇都宮 FIでS級初優勝を飾っている。10月・共同通信社杯秋本番でも一次予選は逃げ粘り2着で阿部康雄とワンツー決着、4日目一般では捲りの1着で十文字貴信とワンツー決着と好成績を残しており、今回も木暮にぴったりマークならゴール前での逆転劇が十分に期待できる。
 菅田壱道は昨年のレースでは果敢な打鐘先行で北日本ラインを引っ張り、自身は9着だったがラインでの上位独占に貢献した。
 それから1年、菅田は大きく成長した。6月・久留米記念では目標の和田圭が出切れず、菅田は矢口啓一郎と外並走の苦しい展開に追い込まれたが、そこから渾身の捲りを放って記念初優勝と同時にS級初優勝を飾っており、今年は持ち味の勝負強さを発揮して優勝を狙ってくる。
 佐賀の藤野孝彦が菅田マークを宣言している。藤野はまだS級での優勝がないが、8月・函館記念は決勝3着、久留米FIは捲りの3連発で準優勝と近況の成績は悪くなく、菅田マークからでも侮れない存在となるだろう。
菅田壱道     藤野孝彦
菅田壱道 S級1班・91期・宮城・23歳        藤野孝彦 S級1班・91期・佐賀・23歳

地元記念を連覇した柴崎淳が積極的な 仕掛けで昨年の汚名を晴らす!
先行意欲の高い伊原克彦が侮れない存在
柴崎淳
柴崎淳 S級1班・91期・三重・23歳

伊原克彦
伊原克彦 S級1班・91期・福井・27歳

池田良
池田良 S級1班・91期・広島・23歳
 柴崎淳は昨年のレースでは絶好の中団を確保しながら、後方選手を警戒しすぎて仕 掛けて遅れてしまい、兄弟子の浅井康太にも切り替えられて5着とまったくいいところがなかった。今年は汚名返上とばかりに単騎の競走になっても積極的に仕掛けてチャンスを掴んでくるだろう。
 柴崎は昨年8月の奈良FIを完全優勝して、続く地元の四日市記念では武田豊樹-神山雄一郎の黄金コンビの先行を中団から捲って記念初優勝を達成している。そして今年10月の四日市記念でも永井清史と平原康多との先行争いを鮮やかに捲って連覇を達成、捲りのスピードにますます磨きがかかっている。位置取りの巧さも昨年のレースで証明済みで、今年も中団確保から得意の捲りを放ってくるだろう。
 伊原克彦の先行力が侮れない。伊原は昨年11月に小田原 FIでS級初優勝を達成したあとは優勝の2文字から遠ざかっているが、近況は徹底先行でメキメキと頭角を現してきて記念などでも大活躍を見せている。
 8月の地元・福井FIの決勝では先行して2着に粘り優勝の村上博幸とワンツー決着、松山オールスターの一次予選では市田佳寿浩を連れて先行して市田の1着に貢献。4日目一般では先行して3着に粘っている。そして11月・松阪記念の初日特選では地元の浅井康太とのもがき合いに打ち勝って見事な逃げ切り勝ちを収めている。
 今のところは単騎の競走になりそうだが、広島の池田良が伊原を目標にする可能性もあり、レースの流れの中で中部の柴崎が伊原を追走していくケースも考えられる。そうなれば伊原の一気の主導権取りが十分にありそうで、伊原 の気持ちひとつでレース展開が大きく左右されるだろう。
 池田はS級での優勝がないが、FI戦の出走が中心とはいえ直近4か月の勝率が2割5分とまずまずの数字を挙げている。追い込みでの勝ち星も多い。8月・小田原記念の準決勝では荒井崇博の捲りを差して1着で決勝進出しており、今回も先行意欲の高い伊原を目標にレースを進めれば池田にもチャンスが巡ってきそうだ。
牛山貴広
牛山貴広 S級1班・92期・茨城・28歳

神山拓弥
神山拓弥 S級1班・91期・栃木・22歳

 牛山貴広と神山拓弥の2人は栃・茨で絆は強く、2人の連係は機動力の面でも強力だ。2人の前後は微妙だが、より積極性の高い牛山が前回りとなるだろう。
 牛山は直近4カ月のホーム回数が17回、バック回数が15回で9人のメンバーの中で最も積極性が高い。10月・共同通信社杯秋本番でも4日間先行して最終日の選抜では見事に逃げ切っている。一発勝負のレースで、しかも2車の短いラインで先行するのはかな りの勇気がいるが、絆の深い神山が番手でしっかり援護してくれれば、牛山が思い切りよく飛び出して相手に捲らせない走りを見せてくれるだろう。
 神山はGI初出場となった オールスターでは準決勝Aまで勝ち上がり、二次予選Aでは神山雄一郎を引っ張って従兄の神山雄の1着に貢献。準決勝Aでは武田豊樹と稲村成浩の決勝進出に貢献と関東勢を大いに盛り上げたのは記憶に新しい。10月・平塚FIで は捲りで今年初優勝と調子も上向きだ。昨年のヤンググラ ンプリは補欠選手で本番への出場はならなかったが、今年は牛山という絶好の目標を得て優勝取りに燃えてくるだろう。


グランプリシリーズを占う 400m京王閣競輪場バンク特性を知る
多摩川沿いにあるため 冬場は風の影響が強い
 直線の長さは普通で走路も軽く、癖のない標準的な400バンクである。ただカントが若干ゆるい感じがあり、捲 りは3コーナーにかかると膨れやすい。バックスタンド裏が道路をはさんで多摩川の河川敷のため、グランプリシリーズが開催される冬場は川風が2コーナーから4コーナーにかけて吹くことが多い。
 方向的にはバック追い風だ が、3コーナーと4コーナーの間にあるジャンボスタンドに当たって跳ね返ってきて、3コーナーで向かい風になっ たり、風がバンクをぐるぐると回るケースも出てくる。
 またホーム側に5階建てのメインスタンドが建ってから1コーナー付近が向かい風で2コーナーまで重くなり、先行は踏み出しで脚力をロスして直線で捕まってしまうケースが多くなっている。
 06年に開催されたグランプリシリーズの決まり手を見てみると、全35レースのうち1着は逃げが5回、捲りが14回、差しが16回、2着は逃げが5回、捲りが6回、差しが12回、マークが12回となっており、やはり冬場は先行が苦戦しているようだ。捲りはカマシ気味の仕掛けが効果的だ。ホーム過ぎから仕掛けても、バックで捲りきらないと、3コーナーから4コーナーの外で風を受けて伸びきれないケースが多い。

データから分析する京王閣バンクの特徴
 周長は400m、最大カントは32度10 分34秒、見なし直線距離は51.5m。直 線では特に伸びるコースはないので 追い込みは番手有利が基本で、交わ しの交わしの出現率は低い。むしろ 番手が悪くても、思い切って大外を 踏んだ方がよく伸びる。番手の選手 は4コーナーを回って立ち直ったと ころから仕掛けて先行を一気に交わ した方がいい。

ヤンググランプリの思い出
優勝 飯野祐太 平成20年12月28日

4人揃った北日本勢が 結束して4連覇を達成
 前受けが北津留翼―坂本亮馬―松岡貴久の九州勢、 中団に4人揃った北日本勢が菅田壱道―新田祐大―飯野祐太―鈴木謙太郎の並びで結束、後方に柴崎淳―浅井康太の中部勢で周回を重ねる。赤板の1角から菅田が後ろを警戒しながら車間を切り、2角から踏み上げて先頭に立ち、打鐘からスパートして主導権を奪う。菅田の上昇に合わせて動いた柴崎が5番手を確保、立ち後れた北津留が7番手の展開で一本棒の状態になる。中団の柴崎は北津留を意識しすぎてなかなか仕掛けられず、たまりかねた浅井が内から北日本勢に切り替えていくが、最終バックから新田が番手捲りを打つ。車間を切って新田を追走していた飯野が直線に入ってから一気に追い込んで1着、2着が新田、3着も鈴木で上位を独占するとともに、北日本勢によるヤンググランプリ4連覇を達成した。

昨年の表彰式
昨年の表彰式

 
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