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世代交代を迫る若手選手の活躍に注目 |
鋭い捲りで絶好調モードに突入した矢口啓一郎 |
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寛仁親王牌では優勝したのは小嶋敬二だったが、山田裕仁、吉岡稔真、伏見俊昭、村上義弘らの大物が早い段階から脱落、代わりに若手の活躍が目立っていた。世代交代がそろそろ本格化してきそうで、今回も若手の活躍に注目してみたい。
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矢口啓一郎選手
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矢口啓一郎は6月頃から絶好調モードに突入している。ふるさとダービー弥彦は準決勝で敗れたが予選は2連勝の勝ち上がり、寛仁親王牌も準決まで勝ち上がって後閑信一の優出に貢献している。圧巻だったのが四日市記念で、決勝こそは伏見の術中にはまって2着に終わったが、2日目優秀は上がり10秒8、準決は11秒0と好タイムを連発して後続をぶっちぎっている。若手は好不調の波が大きいので過信はできないが、今回も引き続き好調を維持していれば大活躍が期待できる。 |
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荒井崇博選手
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荒井崇博も6月の福井記念から好調モードに入っている。7月の取手記念では4日間逃げて決勝8着と健闘、2日目優秀では地元の武田豊樹を封じて逃げ切っており、寛仁親王牌でも先行一本で準決勝まで勝ち上がっている。安易な中団狙いに走ることはなく、格上相手のレースでも強引かつ大胆に同型を叩きにいく走りは九州の追い込み勢からの信頼も厚い。逆に叩かれたときの巻き返しにやや難があるが、今回も九州勢を引き連れて積極的に攻めていくだろう。
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稲垣裕之選手
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稲垣裕之も好調だ。寛仁親王牌では二次予選で敗れたが、ふるさとダービー弥彦では準決で矢口啓一郎の逃げを捲り切って優出している。レースの組み立てが単調で混戦になるとモロさを見せるが、ツボにはまったときの捲りのスピードには光るものがある。先行したときの末脚もまずまずで、サマーナイトフェスティバルの2日目特選では武田―神山の強力ラインを相手に逃げて3着に粘り、稲垣ラインで上位を独占していた。 |
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クセがなく日本一走りやすい高速バンク
年間を通してバック追い風で先手ライン有利
名古屋バンクの特徴 |
カントが34度と少々きつめで直線もやや長いが、走路はクセがなく、選手のあいだでは日本一走りやすいバンクとの評判が高い。
00年に開催された全日本選抜の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが10回、捲りが10回、差しが27回、2着は逃げが8回、捲りが6回、差しが14回、マークが19回となっており、どんな戦法でも力を発揮できるバンクだということがわかる。
ただ、年間を通してバック追い風なので、基本的には先手ラインが有利だ。全日本選抜のときも47レースのうち30レースで先手ラインの選手か1着になっていた。
捲りは先行が追い風に乗ってペースをつかんでしまう前に捲り切るのが条件になる。全日本選抜では予選や敗者戦などの前半戦は先手ラインで決まりやすく、特選予選や準決などの後半戦のレースで捲りがよく決まっていた。
もうひとつの特徴は2着の決まり手に流れ込みのマークが多いことだ。ビッグレースでは力のある選手が揃っているので、2着の決まり手はマークよりも差しが多くなるのが普通だが、名古屋はクセがないので並びどおりにすんなりと決まる率が高いようだ。
周長は400m、最大カントは34度01分47秒、見なし直線は58.8m。クセがなくスピードに乗れるので、年間を通して好タイムがでる高速バンクだ。直線ではとくに伸びるコースはなく、どんな戦法でも力と調子と展開がそのまま結果に出るので、意外性は薄い。バンクレコードは00年の全日本選抜の決勝戦で捲って優勝した金古将人が記録した10秒6。
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山口幸二が渾身の追い込みでGI初制覇を達成
オールスター競輪の思い出 |
第48回を迎えるオールスターでは完全優勝を達成した選手がこれまでに4人いる。63年の高原永伍、87年の滝澤正光、89年の坂本勉、そして98年の山口幸二だ。ちなみに滝澤をのぞく高原、坂本、山口の3人はオールスターがGI初制覇だった。並びは神山雄一郎―金田健一郎、吉岡稔真―本田晴美―梅澤謙芝、一丸安貴―馬渕紀明―山口幸二―萩原操の3分戦。赤板から一丸が上昇すると吉岡が続いて中団を確保、神山はあっさりと8番手に引く。打鐘前から一丸が猛然とスパートすると、神山がインから梅澤を飛ばして7番手にあがる。最終3角から5番手の吉岡が捲ると神山も踏み出すが、一丸との車間を少し空けていた馬渕が合わせて番手から捲ってでる。吉岡の捲りは山口の横までが精一杯、山口が渾身の追い込みで馬渕を交わして優勝、2着は吉岡の外を伸びた本田、3着が馬渕だった。
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