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 愛知県の名古屋競輪場に162名の精鋭を集めて第48回オールスター競輪が開催される。従来は6日制で行われていたが、今年からは5日制に変更され、勝ち上がりのシステムもポイント制が導入されてまったく新しくなっている。

ポイント制導入で生まれ変わった
準決勝は従来の3個レースから5個レースへ
 
 今回から導入されるポイント制は、前半3日間のすべてのレースが準決勝進出を賭けた予選となり、着順によってポイントが与えられ、累計ポイントの上位45名が準決勝に進出できる。準決勝もこれまでは3個レースだったが、1着選手だけが勝ち上がれる準決勝Bが3個レースと従来どおりの3着権利の準決Aが2個レースになる。
 準決勝進出のポイントのボーダーラインは何点になるのか? ボーダーライン上の選手たちの駆け引きはどうか?1着権利の準決勝Cを選手たちはどう戦うか? これまでとはまったく違った興奮と感動の5日間になるだろう。

武田選手
武田豊樹選手
 今大会の主役を務めるのはもちろんファン投票1位の武田豊樹だ。松戸ダービーは決勝4着、高松宮記念杯は決勝2着、寛仁親王牌は準決勝敗退と、さすがの怪物・武田もタイトルへの道のりは容易ではないようだが、全国のファンが武田の初タイトルを心待ちにしているのがよくわかる。
 ただ、近況の武田はうまく立ちまわろうとして結局は7、8番手に置かれたり、内に詰まってしまうレースが目立っているのが気がかりだ。記念では最悪の展開になっても桁外れの脚力で何度も窮地を脱してきたが、さすがにGIでは記念のようにはいかない。
 31歳の年齢を考えると徹底先行というわけにはもいかないのだろうが、35歳の小嶋敬二が小細工なしの先行で寛仁親王牌を優勝しているのだから、小嶋の走りに刺激されて積極的な攻めの姿勢を取り戻せれば、持ち味のパワーで押し切ってあっさりとタイトルを手に入れしまうことも十分に期待できる。
 
地元・中部勢が王国復活を目指す
伏見と村上が復調気配で先行バトルが再熱する
 
小嶋選手
小嶋敬二選手
 初タイトルを目指す武田の前に立ちはだかるのは小嶋敬二率いる地元・中部勢だ。
 小嶋は寛仁親王牌で2個目のタイトルを獲得すると同時にグランプリの出場権も手に入れたので、精神的に大きな余裕を持って後半戦のビッグレースに臨むことができる。グランプリにひとりでも多くの仲間を連れていきたいという思いがあれば、中部勢をぐんぐん引っ張っていくシーンも見られるだろう。もちろん、積極策が功を奏しての小嶋のGI連覇も十分だ。
 小嶋と同様に寛仁親王牌で大活躍の金子貴志に、吉田敏洋、永井清史、松岡彰洋と機動力型が揃っており、地の利を生かした中部勢の王国復活が期待できる。ふるさとダービー豊橋、名古屋オールスターと地元地区でのビッグレースが続くので、中部勢は気合い満々で臨んでくるだろう。
 
 
 
伏見選手
伏見俊昭選手
 復調気配の伏見俊昭も怖い存在だ。ふるさとダービー弥彦と寛仁親王牌はともに二次予選敗退と凡走が続いたが、四日市記念では絶好調だった矢口啓一郎を抑え込んで逃げ切って優勝、格上の脚力と技を見せつけた。8月の1カ月間は配分が止まるので9月には心身ともにリフレッシュしての登場になるし、復帰一発目が地元・いわき平記念なので、いわき平で勢いをつけてくればオールスターでの大活躍が狙っていける。
 もちろん先行日本一の村上義弘も忘れてはいけない。近況は末脚がやや物足りないが相変わらずの徹底先行を貫いており、調子は確実に上向いている。オールスターまでには完調とまではいかなくても9割方までは戻してきそうで、先行日本一の名にかけても寛仁親王牌を逃げ切って優勝した小嶋や武田に対して真っ向勝負を挑んでいくだろう。
 武田、小嶋、伏見、村上の現在の競輪界を代表する先行型が四つ巴の戦いをくりひろげると、レース巧者でタテの脚も兼備した選手の抜け出しが狙っていける。

 
 
 加藤慎平は7月は配分が止まっていたが、5月、6月は絶好調だった。ファン投票も11位でオリオン賞に選ばれている。捌きが巧みで自力勝負も強く、復帰戦の8月の岐阜FIでも先行・捲りの自力勝負で引き続きの好調ぶりを見せつけており、初タイトルにも十分に手が届く位置にいるといえる。
 後閑信一も引き続き好調だ。関東には武田と神山がいるし、矢口啓一郎も絶好調なので、今回も目標選びに苦労することなく勝ち上がれそうだ。奥の手の自力も健在で、7月の小松島記念の順位決定では捲って尾崎和人と群馬ワンツーを決めている。
 小野俊之は近況は差し脚にやや物足りないところもあるが、レース捌きは相変わらず巧みだ。寛仁親王牌の4日目特別優秀で最終ホーム9番手の位置から切り換え切り換えで1着に突き抜けた走りは小野ならではもので、今回も目標不在のレースであっても決して侮れない存在だ。

加藤選手 後閑選手 小野選手
加藤慎平選手
後閑信一選手
小野俊之選手
 
世代交代を迫る若手選手の活躍に注目
鋭い捲りで絶好調モードに突入した矢口啓一郎
 
 寛仁親王牌では優勝したのは小嶋敬二だったが、山田裕仁、吉岡稔真、伏見俊昭、村上義弘らの大物が早い段階から脱落、代わりに若手の活躍が目立っていた。世代交代がそろそろ本格化してきそうで、今回も若手の活躍に注目してみたい。

矢口選手
矢口啓一郎選手
 矢口啓一郎は6月頃から絶好調モードに突入している。ふるさとダービー弥彦は準決勝で敗れたが予選は2連勝の勝ち上がり、寛仁親王牌も準決まで勝ち上がって後閑信一の優出に貢献している。圧巻だったのが四日市記念で、決勝こそは伏見の術中にはまって2着に終わったが、2日目優秀は上がり10秒8、準決は11秒0と好タイムを連発して後続をぶっちぎっている。若手は好不調の波が大きいので過信はできないが、今回も引き続き好調を維持していれば大活躍が期待できる。
 
 
荒井選手
荒井崇博選手
 荒井崇博も6月の福井記念から好調モードに入っている。7月の取手記念では4日間逃げて決勝8着と健闘、2日目優秀では地元の武田豊樹を封じて逃げ切っており、寛仁親王牌でも先行一本で準決勝まで勝ち上がっている。安易な中団狙いに走ることはなく、格上相手のレースでも強引かつ大胆に同型を叩きにいく走りは九州の追い込み勢からの信頼も厚い。逆に叩かれたときの巻き返しにやや難があるが、今回も九州勢を引き連れて積極的に攻めていくだろう。
 
稲垣選手
稲垣裕之選手
 稲垣裕之も好調だ。寛仁親王牌では二次予選で敗れたが、ふるさとダービー弥彦では準決で矢口啓一郎の逃げを捲り切って優出している。レースの組み立てが単調で混戦になるとモロさを見せるが、ツボにはまったときの捲りのスピードには光るものがある。先行したときの末脚もまずまずで、サマーナイトフェスティバルの2日目特選では武田―神山の強力ラインを相手に逃げて3着に粘り、稲垣ラインで上位を独占していた。
 
 
クセがなく日本一走りやすい高速バンク
年間を通してバック追い風で先手ライン有利

名古屋バンクの特徴

  カントが34度と少々きつめで直線もやや長いが、走路はクセがなく、選手のあいだでは日本一走りやすいバンクとの評判が高い。
 00年に開催された全日本選抜の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが10回、捲りが10回、差しが27回、2着は逃げが8回、捲りが6回、差しが14回、マークが19回となっており、どんな戦法でも力を発揮できるバンクだということがわかる。
 ただ、年間を通してバック追い風なので、基本的には先手ラインが有利だ。全日本選抜のときも47レースのうち30レースで先手ラインの選手か1着になっていた。
 捲りは先行が追い風に乗ってペースをつかんでしまう前に捲り切るのが条件になる。全日本選抜では予選や敗者戦などの前半戦は先手ラインで決まりやすく、特選予選や準決などの後半戦のレースで捲りがよく決まっていた。
 もうひとつの特徴は2着の決まり手に流れ込みのマークが多いことだ。ビッグレースでは力のある選手が揃っているので、2着の決まり手はマークよりも差しが多くなるのが普通だが、名古屋はクセがないので並びどおりにすんなりと決まる率が高いようだ。

 周長は400m、最大カントは34度01分47秒、見なし直線は58.8m。クセがなくスピードに乗れるので、年間を通して好タイムがでる高速バンクだ。直線ではとくに伸びるコースはなく、どんな戦法でも力と調子と展開がそのまま結果に出るので、意外性は薄い。バンクレコードは00年の全日本選抜の決勝戦で捲って優勝した金古将人が記録した10秒6。

名古屋バンク
 
山口幸二が渾身の追い込みでGI初制覇を達成
オールスター競輪の思い出

  第48回を迎えるオールスターでは完全優勝を達成した選手がこれまでに4人いる。63年の高原永伍、87年の滝澤正光、89年の坂本勉、そして98年の山口幸二だ。ちなみに滝澤をのぞく高原、坂本、山口の3人はオールスターがGI初制覇だった。並びは神山雄一郎―金田健一郎、吉岡稔真―本田晴美―梅澤謙芝、一丸安貴―馬渕紀明―山口幸二―萩原操の3分戦。赤板から一丸が上昇すると吉岡が続いて中団を確保、神山はあっさりと8番手に引く。打鐘前から一丸が猛然とスパートすると、神山がインから梅澤を飛ばして7番手にあがる。最終3角から5番手の吉岡が捲ると神山も踏み出すが、一丸との車間を少し空けていた馬渕が合わせて番手から捲ってでる。吉岡の捲りは山口の横までが精一杯、山口が渾身の追い込みで馬渕を交わして優勝、2着は吉岡の外を伸びた本田、3着が馬渕だった。


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