レース展望
熱戦の系譜
韓国競輪の歴史
韓国競輪ガイド
競輪韓国語講座
イベント・実施要領
 



 第6回日韓親善競輪が11月10日(木)から11日(金)の2日間の日程で西武園競輪場で行われます。今までは韓国競輪との圧倒的な経験の差で日本の10勝8敗と勝ち越してはいるものの、その差はごくわずか。さらに毎回韓国側派遣選手のレースのレベルは上昇の一途。韓国競輪開設から10年が経過し、蓄積されてきた経験もかなりのもののはず。気を抜いていると日本が「全敗」の可能性もあります。歴史と伝統のある「競輪」発祥の国、日本としての威信を賭けた「絶対に負けられない競輪」がここにはあります!




 今回韓国側から派遣されてきた選手のプロフィールを別表に用意したので、まずはご覧下さい。
 
 
 とにかく獲得したタイトル欄を見ていただければわかりますが、今年のタイトル(韓国では大賞競輪と呼ばれています)を獲得した選手が今回全員派遣されています。日本で言えば、今年のグランプリメンバーが全員派遣されてきたのと同じこと。このメンバーを見るだけで韓国側の「本気度」がうかがえます。まさに国の威信を賭けた総力戦で臨んできました!相手にとって不足はないどころか、少し厳しいかも?そんな強力選手の中でも注目の選手をピックアップします。
 

 
 とにかく強い!チョ・ホソンにはそれ以外の表現が見つかりません。昨年6月にデビューしましたが、いきなり9連勝でS級に特進、その後掲示板をはずしたのがデビュー以来わずかに1度だけ。先日今年初めての3着となりましたが、それまで昨年8月から実に62戦連続連対!と驚くような数字がズラリと並んでいます。今年もタイトルをすでに3つ獲得し、もはや韓国では向かうところ敵はいない状態。まさに「怪物」の称号がピッタリです。
 主な戦法はカマシ先行と中団からのまくり。その強靭な地脚と圧倒的なスピードはマーク選手を寄せ付けず、今まで1着を取れなかったレースの敗因は、ほとんどがホームで内に詰まり踏み遅れた時のみ。チョ・ホソンに勝ったというだけで、まるで優勝したかのように喜ぶ他の選手の姿をダイジェストで確認できるところを見ると、現在の韓国競輪はチョ・ホソンを中心に回っていて、今回の韓国側のエース選手はもちろんこの人。日本勢の勝利は、このチョ・ホソンをいかに封じ込められるかにかかっています。勝ち負けは別としても、韓国競輪ナンバーワンの走りは競輪ファンなら必見!

<チョ・ホソン選手>


 
<ホング・ソッハン選手>
 チョ・ホソンが現れるまでは、間違いなくホング・ソッハンが韓国を代表する選手でした。韓国ではオールスター競輪が年末に行われていて、これが日本のグランプリの役割を果たしています。ホング・ソッハンはこのオールスター競輪を2002年・2003年と連覇していて、その他の大賞競輪のタイトルも多数獲得しています。また、昨年のアテネオリンピックに韓国代表としてケイリンに出場していて、敗者復活戦ではテオ・ボス(オランダ)やルカシュ・クウィアトコフスキ(ポーランド)などの強豪に阻まれ勝ち上がりこそならなかったものの、世界での戦いは大きな財産となったはずです。
 昨年の日韓親善競輪決勝戦では韓国勢の番手を回り、最終ホームで発進して岡田征陽の動きを完全に封じ込めました。ゴール後は誇らしげにガッツポーズでアピールするなど、自国の勝利に貢献できた満足感に浸っていたように、このホング・ソッハンが韓国側の作戦を組む「司令塔」の役割を果たすはず。ここを攻めれば韓国勢の結束は瓦解するかも?
  韓国勢はこの2名が中心となってきますが、それ以外にもアテネオリンピック代表で昨年の日韓親善競輪を制し、首斬りポーズが印象的なキム・チバムや、強靭な粘りを誇るチャン・ボギュなどの走りが見どころ。今回の出場メンバーの走りを一番見たいのは、実は韓国競輪ファンなのかも。日本の競輪でたとえるなら、いつも競い合っているグランプリメンバーが日本を代表して連係し、ライバル国を叩きつぶす!なんて感じです。考えただけで燃えてきますよね!それだけ今回の派遣メンバーは強烈ということなんです。


 
 岡田征陽の活躍については説明する必要も特にないはず。ただこの岡田征陽、日韓親善競輪は今回で3回目の参加となり、日本人選手の中では実は最多の出場回数を誇っています。最初に参加した第4回は決勝戦で先行し日本の勝利に貢献しました。昨年行われた第5回で見せ場を作ったのが初日予選。高橋大作(東京)の先行を捲ったキム・ミンチョルをさらに豪快に捲りきり、韓国の競輪ファンの大声援を受けることになりました。これが韓国勢を奮起させたのか、翌日の決勝戦は韓国勢が三段駆けを繰り出し、日本勢を率いていた岡田は完全に力を封じ込められてしまいます。勝利をアピールする韓国勢の横を通り過ぎてゆく岡田。その背中には悔しさがにじみ出ていたかのようでした。岡田は「個人戦だと思っていたら団体戦になってしまった。また出場したい。」というコメントを残しています。
 そのリベンジ戦がついにやってきました。今回の韓国派遣選手はほとんどが昨年戦った相手。脚力も、そして苦渋をなめた作戦も十分に把握しているはず。さらに今年は日本勢に自力型も揃っていて、連係も期待できます。作戦や脚力ではまだまだ日本が上だということを韓国に示すためにも、そして昨年の屈辱を晴らすためにも、もちろん万全の調整で臨んでくるはずです。

<岡田征陽選手>


 
<川口満宏選手>
 今年前半は川口満宏にとって特別な年になったはず。デビュー18年目にして競輪祭でGI初優出。それも4走オール3着と実に堅実な走り。続く東王座戦(取手)でも優出し、ビッグレースの決勝戦に続けざまに乗ることになりました。長年の努力、そして身につけてきた技術がようやく報われたかのようです。
 日韓親善競輪は今回初参加となりますが、脚力・技術ともに韓国勢を圧倒しています。ズラリと揃った埼京の若手先行選手を巧みにリードし、日本側に勝利をもたらす「日本の司令塔」。今回は親善競輪ということでヨコの動きは制限されますが、韓国選手にこれが「競輪」だ!という何かを伝えてあげてほしいものです。
 両選手以外にも、今年は若手の先行選手中心に韓国に負けじと好メンバーを送り出せることになりました。特に今までは福岡勢と東京勢しか参加していなかったので、初参戦となる埼玉勢には期待大ですね。地元バンクで勝利をアピールするのは絶対日本です!

出場予定選手一覧

級班
期別
氏名
府県
参加実績
S1
58期
川口 満宏
東京
初参加
S1
61期
廣川 貞治
東京
第4回以来2度目の参加
S1
85期
岡田征陽
東京
第4回から3回連続参加
S2
69期
池崎太郎
東京
初参加
S2
83期
高橋大作
東京
第5回に続き2回連続参加
S1
78期
峠 祐介
埼玉
初参加
S1
86期
吉田 勇人
埼玉
初参加
S2
67期
飯田 威文
埼玉
初参加
S2
79期
尾崎 剛
埼玉
初参加



 
 韓国競輪は333mバンクでしか開催が行われておらず、今回の舞台となる西武園競輪場のような400mの走路には慣れていません。前回立川で行われた時も、韓国選手はしきりに直線の長さを気にしていました。その意味では地の利ある日本勢に有利と言えそうです。
 しかし、韓国勢にはその不利を吹き飛ばすほどの「作戦」があります。その作戦とは自力選手が次々と番手から発進する、いわゆる二段掛け、三段掛け。昨年の決勝戦では完璧にその作戦がはまりました。当然昨年参加していた岡田征陽や高橋大作はその作戦を読みきっているはず。「とにかく先手を取る」両国の思いは一つ。となれば、通常の競輪では見ることができない超ハイスピード競輪が展開される可能性があります。
 韓国選手は自力型がズラリと揃ってはいるものの、個人のトップスピードに関して言えばさほどの脅威ではありません。ペースが上がる前に日本勢が一気に叩いてしまえば、あとは「技術」をもつマーク選手が競輪の真髄を韓国選手に見せ付けてくれるでしょう。とは言え、どこから仕掛けられるのか、号砲と同時にどちらが前を取るのか。まくりがきかないことで有名なバンクだけに、主導権争いは歴史に残る壮絶なものになるはず。
 日本が勝利するには、チョ・ホソンをいかに封じ込めるかにかかっています。ペースを上げて仕掛けさせないようにするか、外からかぶせて内に封じ込めるか。実は普段通りの競輪競走が、かえって韓国勢を抑えるのに有効なのかもしれませんね。

COPYRIGHT(C) JAPAN KEIRIN ASSOCIATION, All Rights Reserved.