北日本からは渡邉一成と新田祐大の福島コンビと坂本貴史の3人が出場するが、3人が連係するかは微妙だ。坂本が前を任されれば積極的に主導権を取りにいって、福島コンビは必勝パターンに持ち込めるが
福島コンビが自力での戦いにこだわるようなら、坂本は別線か福島コンビの後ろ回りになるだろう。
福島コンビの並びは渡邉-新田か。以前は2人の同乗時は新田の前回りが多かったが、近況は新田がやや調子落ちになっており、成績も渡邉のほうが上回っている。
東王座戦の2日目予選では新田-渡邉の並びで7番手からの捲り不発、決勝も新田-渡邉で先行したが武田豊樹に捲られて渡邉が7着、新田が8着、共同通信社杯春一番の二次予選でも新田-渡邉の先行で渡邉が7着、新田が8着に終わっている。しかし、寛仁親王牌の2日目ローズカップでは渡邉-新田-伏見俊昭で並び、渡邉の先行を番手捲りした新田が1着、伏見が2着のワンツーが決まっており、今回も渡邉が前回りで、得意のダツシュ力を使っての主導権取りを狙ってくるだろう。
坂本貴史は父・坂本勉の引退の日の6月22日に京都向日町FIで逃げ切って今年初優勝、8月の松戸FIも捲って優勝している。ビッグレースではなかなか結果を残せていないが、格上相手に積極的に仕掛けていくレースが多く、今回も単騎戦になったとしても前々へと仕掛けていって見せ場をつくってくれるだろう。
永井清史はビッグレースの決勝からは遠ざかっているが、近況の調子は悪くない。9月の函館FIでは連日の先行策で決勝は逃げ切って優勝。競輪祭では準決勝で藤木裕-村上義弘の近畿ラインに屈したが、一次予選は捲りで1着、二次予選と4日目特選ではしっかり主導権を取り切っている。今回、中部は一人だけだが、決して後手を踏まない走りでチャンスを掴んでくる。
九州から出場の3人は北津留翼-中川誠一郎-井上昌己の並びで結束するだろう。
北津留は競輪の駆け引きがあまり得意ではなく、4月の小倉FIでの優勝はあるが、成績は相変わらず波が大きい。それでも、すんなり仕掛けることができたときのスピードは出色のものがある。5月の全プロ自転車競技大会のスプリントでは決勝で渡邉一成を下して3連覇を達成、日本競輪選手会理事長杯スタートとなった寛仁親王牌の初日は村上義弘、平原康多らを相手に大塚健一郎を連れてしっかり主導権を握っている。
中川誠一郎は7月の第一次トラックナショナルチーム選手選考会を経て約4年ぶりにナショナルチームに復帰、妹の中川諒子とともにロンドン五輪出場を目指している。競輪では2月の奈良FIで永井清史の捲りを番手から差して優勝している。近況も調子はまずまずで、競輪祭では一次予選で敗れたが、2日目特一般では菅原晃の番手で志智俊夫に競り込まれたが、番手を死守しての差し切りで1着になっている。井上昌己との連係も多く、9月の観音寺FIの初日特選では井上の番手回りで、井上の捲りを差してワンツーを決めている。
3番手を固めそうな井上昌己も侮れない。共同通信社杯秋本番の2日目特一般では松川高大-中川誠一郎-井上昌己の並びで連係、松川が主導権を握ると中川は車間を空けて援護、ゴール前では3番手の井上も伸びて中川と1着同着だった。10月の佐世保FIでは初日特選が捲り、準決勝と決勝が追い込みで完全優勝を達成している。今回も北津留が主導権を握れば直線で伸びてくるだろうし、北津留が行き切れなくても自力に転じての捲り発進も十分にあるだろう。
稲毛健太は高校卒業後に自転車に乗りはじめたが、わずか半年後に国体で優勝するほどの力をつけ、競輪選手への道へ進んだ。全プロ自転車競技大会では1000mタイムトライアルで3位となり、今年の7月からのS級デビュー戦が寛仁親王牌だった。デビュー戦は大敗続きの結果となったが、2走で先手を取っており、今回もグランプリシリーズの大舞台で主導権取りに燃えてくるだろう。
河端朋之もアマチュア時代に国体で優勝するなどの輝かしい実績を挙げて競輪界へ足を踏み入れた。7月から昇級したS級ではまだ目立った結果は残せていないが、徹底先行で奮闘しているおり、11月の平塚FIでも初日予選で敗れたが、3日間ともきっちり主導権を取り切っている。
平塚バンクの特徴 |
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カントも直線の長さも標準的な400バンクで、クセもなく走りやすい。直線でとくに伸びるコースもなく、選手は力どおりの勝負ができる。比較的軽いスピードバンクといわれているが、バンク内に池があり、相模川も近くて湿度が高いので、冬場に気温が下がると急激に走路が重くなることもある。また10月にウォークトップが塗り替えられたが、直後の11月のFI開催では全36レースのうち1着の決まり手は逃げが4回、捲りが7回、差しが25回と自力型の苦戦が目立っていた。 |