ヤンググランプリ2011レース展望

東日本大震災被災地支援 12月28日(水) 11R 平塚競輪場

 若手選手の登竜門であるヤンググランプリ2011(GII)が12月28日に平塚競輪場で実施される。昨年の深谷知広のような傑出した存在が不在の今年は大混戦必至。ラインや前後の並びも例年以上に流動的で、自力型揃いのパワー対決は決して予断を許さない激しい戦いが繰り広げられるだろう。

傑出した本命不在で大混戦必至!
南関東コンビが地元戦での一発を狙う!
 好目標を得た上原龍にもチャンスは十分!

 今年のヤンググランプリは関東2人、南関東2人、中部3人、中四国2人の組み合わせとなった。中部3人が結束するかどうかは流動的で、南関東や中四国の前後も現時点では不確実で、最終的には点と点の力比べの戦いになりそうだ。実績上位は上原龍と才迫勇馬のS級1班の2人だが、2人とも落車の影響で本調子ではなく、9人全員に優勝のチャンスがあるといえる。

村上直久 神奈川・95期  南関東の村上直久と柴田竜史は村上のほうが積極性は高く、柴田は捲りが得意だ。常識的には村上-柴田だが、神奈川の村上にとっては地元戦となるので、自在性のある柴田が前で戦って位置を取りにいく走りも考えられる。
 村上はS級での優勝はまだないが、11月の大垣記念では一次予選を逃げ切り、二次予選は捲りの2連勝で準決勝進出、最終日も捲りで完勝と大ギアパワーを発揮。次場所の平塚FIでは初日予選で失敗したが、2日目一般が逃げて2着、3日目特選が逃げ切りとバンクとの相性も良い。

柴田竜史 静岡・96期  柴田竜史は6月の武雄FIで捲り3連発の完全優勝でS級初優勝を飾っている。11月の地元・静岡記念でも一次予選は7番手からの捲りで松江健一とワンツーを決めており、ツボにはまったときの捲りの切れ味は鋭い。

相川永伍 埼玉・95期  相川永伍と上原龍の関東コンビは相川-上原の並びでほぼ確実だ。本来の実力ならば上原のほうが格上だが、4月の別府記念で落車した影響でずっと低空飛行が続いている。昨年はFIの優勝が2回あるが、近況はFIでも優出が厳しい状況となっている。
 それでも、相川が先行主体の走りで調子を上げてきているので、相川の仕掛け次第では上原にも優勝のチャンスは十分にある。

上原 龍 長野・95期  相川はまだS級で優勝はないが、先行にこだわった走りで着実に力をつけてきている。10月の静岡FIでは初日予選で敗れたが、敗者戦では逃げ切りで2勝、11月の大垣記念では4日間主導権を取り切り、最終日特選では番手追走の小橋正義をふりきって堂々と逃げ切っている。

中部は3人結束なら強力だが、三重コンビの気持ち次第で別線勝負も
先行力随一の才迫勇馬の逃げ切り優勝も十分

松岡篤哉 岐阜・97期 中部の3人はうまく連係できれば強力なラインとなるが、西村光太と松岡篤哉は自力で戦いたい気持ちがともに強く、三重コンビと岐阜の松岡とは別線勝負になりそうな公算が高いだろう。
 松岡は10年9月のルーキーチャンピオンレースを8番手からの大捲りで優勝、同年12月のレインボーカップファイナルは逃げて2着に粘ってS級特昇を決めており、一発勝負のレースで好成績を残している。直近4カ月のホーム回数が15回、バック回数が17回と、今回のメンバー中では最も積極性が高く、先行したときの末の粘りもいい。今回は単騎戦となっても、積極的な仕掛けで好位置を奪取してチャンスを掴んでくるだろう。

西村光太 三重・96期  西村光太と坂口晃輔の三重コンビは西村-坂口の並びだろう。西村は96期の在校1位だ。10年4月のルーキーチャンピオンレースでは優勝した深谷知広との連係が外れたが、8番手からの捲りで2着に突っ込んでいる。7月の落車の影響で現在は本調子とはいえないが、11月の平塚FIの初日予選を逃げ切っており、今回も坂口を連れての積極的な仕掛けが期待できる。

坂口晃輔 三重・95期  坂口晃輔は身長156㎝と小柄な選手で、捲り、追い込みを得意戦法にしている。10月の弥彦FIでは今井裕介-中村淳の先手ラインの3番手を取り切り、そこから捲り追い込んでS級初優勝を飾っている。次場所の京王閣記念では準決勝まで進出、11月の立川FIでは敗者戦ながら2勝を挙げ、優勝をきっかけに着実に調子を上げてきている。
 才迫勇馬と小川祐司の中四国の連係も微妙だ。ビッグレースの出場経験が多く、今年はFIの優勝が2度ある才迫が断然の実績上位だが、落車の影響で近況は成績不振で、FIでも苦戦している状況が続いている。

小川祐司 愛媛・96期  一方の小川祐司はS級での優勝はまだないが、FIではコンスタントに優出して成績は安定しており、競走得点も現在は小川のほうが上だ。

才迫勇馬 広島・95期  才迫は誰より先行にこだわりを持っているので、小川が折り合うようなら才迫-小川の並びだが、先行だけでなく捲りでも鋭いものを持っている小川に自力で戦いたい気持ちが強くあれば、両者が単騎戦となる可能性もある。
 才迫は連対時の決まり手が逃げ100%で、今年2度の優勝も逃げ切りと先行力は随一だ。体調は万全とはいえなくても、磨き抜かれた先行テクニックを駆使してタイミングよく仕掛けていけば、細切れ戦による後続のもつれを尻目に、ヤンググランプリ初の逃げ切り優勝も十分に狙えるだろう。

語り継がれる名勝負 ヤンググランプリ2010 優勝 深谷知広
深谷知広が大外を捲り切って優勝

深谷知広-岩本俊介、牛山貴広-木暮安由、水谷好宏-三谷将太、脇本雄太-西谷岳文、単騎の坂本貴史が最後尾で周回。赤板1角から脇本が一気に前団を叩いて先頭に立つ。深谷が下げると、牛山、三谷が切り替えて深谷は8番手になる。3番手で坂本と並走となった牛山がホームから仕掛けて脇本ともがき合いになると、木暮が自力で捲っていって先頭に立つ。水谷、坂本が木暮を追っていくが、隊列が短くなったところを深谷が豪快に捲り切って優勝、水谷が2着、三谷が3着。

深谷知広が大外を捲り切って優勝