今年前半の競輪界に旋風を巻き起こした近畿勢か?
後半戦での逆転劇に成功した北日本勢か?
あるいは平原康多と武田豊樹の2大先行型が好タッグを組む関東勢か?
今年の王者を決めるKEIRINグランプリ2010は12月30日に立川競輪場で号砲を迎える。
魂の走りで華麗に復活した村上義弘は、弟の村上博幸と市田佳寿浩を引き連れて今年前半の競輪界に近畿旋風を巻き起こした。
西王座戦では3番手から伸びた市田が優勝、日本選手権では博幸がGI初優勝、義弘が準優勝の兄弟ワンツー、共同通信社杯春一番では義弘が完全優勝、SSシリーズ風光るでは再び博幸が優勝、寛仁親王牌では市田がやはり3番手からGI初優勝、義弘が準優勝と猛威を振るった。
後半戦に入ると、博幸が落車の影響で調子を落として近畿旋風も一息ついた印象だったが、近況はまた勢いを取り戻してきている。
昨年暮れは村上兄弟と市田の近畿トリオでSSカップみのりに出場しているが、小嶋敬二の突っ張り先行に屈して不発に終わっているだけに、今年のグランプリでは義弘が近畿ライン上位独占を狙い主導権取りに燃えてくるだろう。
平原康多と武田豊樹の競輪界を代表する2大先行型の関東タッグも強力だ。
平原は武田の先行を目標に連覇を達成した高松宮記念杯以後は調子を落として低迷してしまったが、11月の観音寺記念あたりからようやく復調ムードに入り、本来の積極性が戻ってきている。
武田も10月の熊本記念で新車に乗り換えてから先行回数が増えてきており、近況は平原に負けない積極的な走りを見せている。今年は年間を通してビッグレースで高い安定度を維持しており、状態も万全だ。昨年のグランプリでは平原が主導権を握っているが、今年の関東勢は武田が前回りの並びも十分に考えられる。
王者・山崎芳仁は今年前半は低調で近畿旋風に押され気味だったが、年頭から照準を合わせてきた地元・いわき平のオールスターでは準決勝で上がり10秒5の驚異的な捲りを放ち、決勝も7番手の展開から上がり10秒9の捲りで圧勝して完全復活を果たした。
その凄まじい破壊力は別線の選手たちには脅威であり、グランプリでも展開無用の捲りが炸裂すれば山崎が通り過ぎていくのをなすすべもなく見送るしかないだろう。
佐藤友和は落車などの影響で長らく低迷していたが、全日本選抜で初のGIタイトルを獲得して2年ぶりにグランプリの大舞台に戻ってきた。
宇都宮の全日本選抜では武田豊樹や神山雄一郎らの地元鉄壁ラインを分断しての優勝と、佐藤らしい頭脳プレイを見せつけており、グランプリでも得意の捲りや捌きを駆使して、勝利を目指してくるだろう。
伏見俊昭は後半戦に入って調子落ちになったが、共同通信社杯秋本番では新田祐大の先行を番手捲りした山崎芳仁を差し切って優勝を決めた。
競輪祭では優出を逃したが、初日特選とダイヤモンドレースを連勝、4日目特選も山崎不発の展開から2着ともはや体調面での不安は全くなく、グランプリでの北日本勢の並びはまだ未定だが、久しぶりに伏見らしい展開不問の強さを発揮してくれるだろう。
昨年のグランプリでは単騎戦から初制覇を達成した海老根恵太だったが、年が明けると大スランプに陥り、GIでは優出もままならない状態が続いてしまった。
しかし、ラストチャンスとなった競輪祭で見事に優出、やはり単騎戦から得意の捲りを放って2つ目のGIタイトルを獲得した。今年のグランプリも単騎戦となるが、昨年同様の巧みな捌きと位置取りで連覇が十分に期待できる。
立川バンクの特徴 |
---|
見なし直線が58メートルと400バンクのでも特に直線が長くて追い込みが断然有利。先行はペース駆けに持ち込めても、踏み直しが利かないと苦しい。捲りは中団を取って3角から捲り追い込み気味に仕掛けると決まりやすい。7、8番手に置かれても、直線強襲での巻き返しのチャンスは十分にある。冬場はバック向かい風が強い日が多い。 |
語り継がれる名勝負 KEIRINグランプリ09
大外強襲の海老根恵太が微差の接戦を制してV! |
---|
永井清史―加藤慎平、海老根恵太、平原康多―武田豊樹―神山雄一郎、石丸寛之、山崎芳仁―伏見俊昭の並びで周回。赤板手前から山崎が上昇して永井を抑えると、永井は車を下げ、3番手は平原と永井で並走になるが、永井がさらに車を下げる。山崎は打鐘で誘導を交してスローペースに落とすが、平原が2センターから山おろしを掛けて一気にスパート、最終ホームで山崎を叩いて主導権を奪う。山崎は3番手に飛びつき、踏み遅れた神山が4番手、5番手に伏見、6番手に海老根で最終バックを通過、伏見が3コーナーから捲り上げると、武田も番手から抜け出すが、伏見の捲りに乗った海老根が直線外を強襲して初優勝、武田が微差の2着、伏見が3着だった。 09年12月30日グランプリ09 決勝・ゴール 優勝(9)海老根恵太 |