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INTERVIEW S級S班独占インタビュー

武田 豊樹

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T 武田選手ってどんな人? 仕事に対しては真面目ですね。スピードスケートをやっていた時代からトレーニングはしっかりやるし、ここぞという時にきちんと集中してやれる人間だと自負しています。でも、プライベートの時は全然ダメですね~(苦笑)。周りの人から見たら、正しいと思えるような人間じゃないと思いますよ。あんまりいい人間じゃないんじゃないかなぁ。もちろん、ちゃんと周囲を気にかけたりもするけど、マイペースなところもあるし…。人間としてまだまだ勉強が足りないです。

A あきらめない男 元スピードスケート選手という経歴の武田選手。高校卒業後に選手として伸び悩み、一度は引退して競輪選手を目指したものの、その後またスケート選手として現役復帰。そして見事オリンピック出場を果たした。当時は競輪学校への入学には年齢規制があり、スケートの道を再度進むことで、競輪への道は断たれてしまったかに思われた。しかし、武田選手はオリンピック後に競輪選手への転向を表明、特別選抜試験を経て競輪選手となり、S級S班にまでのぼりつめた。壁にぶち当たっても、努力と精神力で乗り越えてきた。そんな武田選手のあきらめない姿が、応援する側の心にも響く。

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K 車への想い 何度か車は乗り換えてきました。以前のインタビューの時に白のポルシェに乗り換えた話をしましたが、それ以降は変わってないですね。ずっと、プロになって賞金を稼ぐようになったら自分の好きな車に乗りたい、と思っていたんです。それが一番やりたかったことなんですよ。

車が好きなので、車をモチベーションにしたんですね。その時に持っている力を最大限発揮して、乗りたい車に乗れるような自分でいられるように、と。なので高いモチベーションを持ち続けるために、車を買い替えることには意味があった。でも今はそうでもない。自然とモチベーションが保てるようになったのかなと思いますね。

E エルメスがお気に入り 買い物が結構好きで、大人買いしているような印象を与えることもあるようなんです。でも、むやみに買うのではなく、愛着のあるものをずっと使い続けるタイプ。だから、長く愛着を持てるもの、という基準で選ぶようにしています。あまり流行を追ったりはしませんね。

たとえば革製品など、自分の好みに合ったものを選んで買うので、流行に左右されることなく何十年も使っていられるんですよね。実際に気に入ってるのはエルメスが多いですね。革靴なども、愛着があるし大切に履いています。手入れも自分でしていますよ。

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D 同期はいいライバル【花の88期】

競輪界を牽引しているといっても過言ではないのが、武田選手も卒業した日本競輪学校第88回生。2011年のS級S班にも、武田選手の他に山崎選手、佐藤友和選手、成田選手と、全部で4人の同期が肩を並べている。競輪界の頂点で切磋琢磨できる同期がいることは、なんとも心強い限り。競輪学校時代から苦楽を共にしてきた仲間が近くにいることで、自分もトップに居続けたいという闘争心にさらに火がつく。ライバルであり、また、共に上を目指す仲間の存在が、武田選手をさらに強くしてくれている。

A 憧れの人 憧れの人はその都度その都度、たくさん出てきます。今すぐ1人だけ、というとパッと思い浮かばないなぁ…。競輪選手の中でというなら、神山(雄一郎)選手ですね。ああいう選手になりたいなという憧れみたいなものがあります。憧れというか、尊敬ですかね。憧れの人として歴史上の人物をあげる人もいるかもしれないけれど、僕はそういうところには憧れは感じないんです。憧れるのは、実在のスポーツ選手。真摯にスポーツに取り組んでいる人を尊敬しますね。どんなジャンルのスポーツでも、しっかりやっている人は素直に「凄いな」と思う。自分がスケートをやっていたこともありますが、どちらかというと団体競技よりも、個人競技の選手に尊敬の念を抱くことが多いですね。

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T トレーニングはメンタルも重要 メンタルトレーニングは小さい頃からやっていたので、クセになってるかもしれません。いろいろなことを再確認するためにやったりしますね。競輪の世界に入る前のスケート時代には、世界で戦っていくうえでどうしてもメンタルの強さが必要だったんです。競輪の世界にきた今も、必要だと感じる時があります。

そういう時は、自分の中をしっかりみつめ直すいい機会として、自分なりの課題をみつけてやったりしますね。必要なのはメンタルだけではないですが、メンタル面からの影響はやはり大きい。最高の力を発揮するためにも、肉体的な強さだけでなく、精神力も大事というのは意識しています。

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O オッズ 多少は気になりますが、今からのレースで自分がどう走るのか、ということしか考えていないです。

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Y やりたいこと

今、何かやりたいことがありますか?と聞かれても、正直、特に何もないんですよね。やりたいこともないし、特にこれといって欲しいものもない。すでに自分は今の状態にある程度満足してるということなんでしょうか。ただ、自分ではまだまだ足りない部分が多い気がしています。だから、人としてこれからもっと勉強して、しっかりした選手になれるように頑張っていきたいですね。

O 遅いデビューからの200勝

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遅いデビューという事については、やっぱり心には常に意識があります。そこから200勝に達したと言う事は、嬉しいことですよね。でも200勝したことについて特別に感慨があったかというと、そういうのはあまりないです。数字は自分の成績や調子そのものだし、もちろん気にはなります。でも100勝200勝という数字は、それほど意識していないかな。だから、次は300勝に向けて頑張ろう、とかそういう目標はないです。自分にとって勝利数は、目標にするものではなくて、今までの通過点として後から見返すものですね。こんな練習や経験を積んだ頃に30勝したか、自分がどんな状態の時に50勝したか、というようにね。

K 後輩との接し方 今スピードスケートから転向した後輩の面倒を見ています。師匠と呼ば れるほど偉くないです(苦笑)。教育方針と言うと大げさですが、基本的には自分の走りや結果を見せることで、何かに気がついてもらえればいいなと思っています。その人の気持ちになって考えて指導する、というのはあまりないかもしれません。でも、競走で気になるところがあれば、アドバイスはしますよ。自分の経験をふまえて、ここはこうした方がいい、など声をかけることもあります。その他の競走以外の生活習慣などについては特に言わないです。後輩たちも、みんなそれぞれにオリンピックなどの大舞台を経験してきているメンバーだし、そこまでは言わなくてもちゃんとわかっているでしょうから。それぞれベースとなる自分のやりかたが既にあると思うので、そこは安心して任せています。

I イメージ通りの走り

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レース前には、レース展開を考えて頭の中で走りをイメージするんです。調子がいい時はそのイメージ通りに走れるんですよね。練習とイメージトレーニングの両方があることで、自分の走りは支えられている部分もあると思います。厳しいレース展開になってしまった時は、レース後に反省点などをピックアップし、それを打破するイメージをしっかり頭の中に描いてから次のレースに臨む。明確にイメージできれば、その分勝利に近づく気がします。