HOMEINTERVIEW伏見 俊昭
伏見の師匠である斑目秀雄(まだらめひでお)は、福島・24期の元競輪選手。昨年S級S班だった岡部芳幸も弟子の一人である。班目道場と呼ばれる、競輪選手の育成目的の練習グループを主宰。
通常、レースで使用しているフレームメーカー。デビューしてから今日まで、ナガサワ一筋。「自転車のことを誰よりもわかっているので、長澤さんの言うことも聞いていれば間違いない。そのくらい僕は信頼しています。長澤さんは職人肌だから、いい意味で普通じゃないですけどね(笑)」
伏見は、1976年2月4日生まれ。団塊ジュニアの1976年生まれは、ネット起業家が多く、マイペースに気負わずビジネスをするのが特徴とされる。競輪選手のナナロク世代では、佐藤慎太郎(福島・78期)、小倉竜二(徳島・77期)がいる。
自転車競技で、アテネ(2004)と北京(2008)2回のオリンピック出場経験がある。アテネオリンピックでは、チームスプリント種目で銀メダルを獲得した。伏見にとってオリンピックは特別の思い入れがあり、「4年間をオリンピックのために費やしても短いくらいで、人生を賭けることができる価値のある大会」だと話していた。
「競輪の魅力を一人でも多くの方に伝えたい」という強い思いから、選手として活躍する傍らで競輪普及活動を行う。ファンの意見を取り入れて、自身がイベント企画などをすることもある。2008年度の特別競輪告知ポスターには、伏見がイメージキャラクターとして選ばれた。
毎朝の朝食はいつも自分で用意する。起きたら米を研ぎ(タイマーセットはご飯の味が落ちるのでしないそう)、豆腐入りの味噌汁をつくり、魚を焼く。気が向けばキッチンに立ち、料理をすることも多い。得意料理は「肉野菜炒め」。男の料理は、フライパン一つでできるもので、味付けは塩とコショウが基本(!?)。
連対率とは、出走したレースのうち1着、2着に入着する確率のこと。3連対率は、3着までに入着した確率である。伏見は、昨年1年間の連対率63%、3連対率74%、勝率43%で、いずれもナンバーワン。安定した成績を残せる、総合力の高さがうかがえる。
2001年と2007年のKEIRINグランプリで優勝。2回の年間賞金王に輝いている。2007年には、生涯獲得賞金が10億円を突破した。
伏見にとってのレースの約3分間という時間は、「あっという間」。それまでに何時間、何十時間という練習を積み重ねたのに、一瞬で終わってしまう。負け戦のときは、もっと走りたい、もう一度走らせてほしいと思うこともある。勝負の世界は甘くない。3分間の中で、積み重ねてきた力を最大限に発揮できた人が勝利をつかめる。
「競輪選手は、天職です」と、迷わず答えた伏見。生まれ変わったら、もう一度競輪選手として同じ人生を歩みたいかと聞いたところ、他のプロスポーツ選手も体験してみたいという答えが。競輪選手として今と同じように鍛錬ができるか自信がないし、つらく険しい道を選び、挫折と栄光の両方を経験したので、思い出すだけで戻れないと感じてしまうらしい。
勝つための身体をつくるために、定期的にパーソナルトレーナーにウエイトトレーニングをみてもらっている。トレーニングを受けるために、福島から大宮(埼玉県)に通っている。約3時間のウエイトは身体の状態を見ながら、かなりしっかり目に集中して行っている。
「全力勝負」 念頭に掲げた目標はグランプリ出場ですが、一戦一戦目先のレースだけに集中して、全力で走ることだけを心がけていきたいです!
今年新たに何かにチャレンジするということは特に考えていません。毎日の生活や練習が当たり前だと思わず、その日にそのままの状態が幸せだと思うことです。志を高く持ち、何も変えずに一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。