先ほどもお話ししましたが、僕の場合、世界を目指して自転車競技を始めたことがきっかけで競輪選手になりました。競技が原点でもあり、モチベーションにもなる。オリンピックもあきらめたくない。半ば意地になって続けている部分もあるかもしれません。
どちらも甘い世界ではないので両立は難しいし、どちらか一方に絞ったほうがいいと思うこともあります。でも、競輪と競技の両方があるからこそ、今こうしてここにいることができるともいえる。僕にとってはプラスになることが大きいです。
競技をすることで、むしろ競輪のすばらしさを発見することができました。競輪は難しいと言われるけれど、それが面白さや魅力でもあります。競技は個人でタイムを競い、あくまでも勝つことが目的ですが、競輪は個人競技のようでありながらも、ラインで勝つという団体種目的な側面もあります。自分だけが勝ちたいという考えではなく、ラインを組んだ仲間が1着を取ったら自分のことのように嬉しさや感動を覚えるのは、競輪ならではなんです。競技をやっていたおかげで、ひとりよがりのレースではなく、ラインの重要性を考えて、北日本、福島のラインを大切にするように思えるようにもなりましたね。
SSに昇格したといっても、まだあまり実感はないことが正直な気持ちです。僕以外のSS選手は実力と実績があるので、赤いパンツを借りて走らせてもらっているような気持ちもあります。この1年を通して、S級S班という階級に見合った選手になれるよう精一杯走るというのが、今の自分が言えることです。